時代を繋ぐ伝統の技 - 森博多織

博多織は780年以上前に中国から伝わり、当初は武士が使用する「男帯」を主に製作していました。江戸時代には黒田長政が徳川将軍に博多織を献上したことで「献上柄」が広まりました。しかし、江戸時代の終わりとともに武士の需要が減少し、博多織も新たな道を模索することとなり、女性用の帯を作り始めました。その後、明治時代からは機械化が進み、現代に至るまで主に女性用の帯が作られています。しかし、着物の需要が減少し、平成に入ってからは雑貨の製作も始められました。博多織は歴史に応じて進化しており、現在もその変化の中にあります。

工場見学
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森博多織の商品を選んでいる女性 森博多織の機械 森博多織を編んでいる様子 森博多織を作っている様子 森博多織の店舗

森博多織工場見学について

森博多織の工場見学では、長い歴史の中で受け継がれてきた博多織の伝統技術を間近でご覧いただけます。見学ツアーでは、職人が丁寧に織り上げる工程を体感できるだけでなく、博多織の歴史やその魅力についても深く学べる内容となっています。 見学は、専任のガイドが案内し、博多織の起源から現代に至るまでの歴史、そして工場内で繰り広げられる巧みな技術を詳しくご説明します。古来の手法と最新技術が融合した製造過程をじっくりと見学することができ、伝統工芸の奥深さを実感できるでしょう。 また、見学の最後には、工場直営のギフトショップでしか手に入らない博多織のアイテムをご購入いただける時間もございます。工場見学を通じて、博多織の魅力を存分にお楽しみください。 見学ツアーは、事前予約が必要です。少人数のグループから大人数の団体まで対応可能ですので、ご家族やご友人と一緒にぜひお越しください。

機織りの様子 機織りの様子2
機織りの様子

機織りの様子を
間近で見られる

壱

森博多織の工場見学では、職人が機織りを行う様子を間近で見ることができます。伝統的な手織りの技術と最新の機械が融合した工程をじっくり観察できる貴重な機会です。繊細な模様が織り上がる瞬間を、その目でお確かめください。

機織り体験の様子

伝統の機織りを
体験できる

弐

職人の指導のもと、実際の織機を使って博多織の伝統模様を織り上げる貴重な体験が可能です。手を動かしながら、織物の魅力と職人技の奥深さを肌で感じてください。この体験を通じて、伝統工芸の素晴らしさを実感いただけます。

機織りの様子

直営ショップで
限定品をゲット

参

工場見学後は、直営ショップで博多織製品を購入することができます。伝統的な着物や帯から、現代的な小物まで、多彩なラインナップが揃っています。ここでしか手に入らない限定アイテムもあり、お土産や贈り物としても最適です。ぜひお気に入りの一品を見つけてください。

工場見学の概要

コース概要
工場見学&手機体験コース

伝統工芸の博多織ができるまでの一連の流れを見て学び、手機(てばた)による博多織の体験ができます。博多織の魅力を存分に体験できるコースです。

参加費
880円(税込)
小学生以下は無料
申し込み受付人数
4名以上
システム
○午前:受付時間 / 10時00分 - 11時30分
○午後:受付時間 / 13時00分 - 15時00分
見学所要時間
約30分
その他
見学者全員に記念品をご用意しています。
ご予約は1週間前までにお願い致します。

メッセージ

森博多織社長
織りあぐり直営店舗
博多織を織っている様子
博多織を作っている機械
糸を確認する社長
コロナ禍がもたらした
変革と新たな挑戦

森博多織は明治29年に創業し、伝統的な博多織の技術を守りつつ、時代に応じて進化を遂げてきました。昭和60年代までは帯を主に製造していましたが、その後、絹を使ったタオルの製作に挑戦しました。しかし、原材料費の高騰や市場の変化により、2022年にタオル製造を一時休止しました。また、コロナ禍以前から構想していた道の駅の運営や地産地消の拠点づくりを目指す新たな方向性を打ち立てました。現在は「織りあぐり」を中心に、観光バスを呼び込み、見学コースを提供するなど、観光に重点を置いた取り組みを進めています。コロナ前後で大きく変化したこの転換期に、会社の方向性を見直し、新たな挑戦を続けています。

武士に愛された
博多織の実用性

博多織は、細い縦糸に太い横糸を通して固く織ることで特徴づけられます。特に縦糸の密度が高く、20cm幅の生地に約3000〜4000本の縦糸が使われるため、非常に緻密な織物が生まれます。この構造により、博多織は横糸が表に出ず、縦糸で柄を出すことが大きな特徴です。博多織が武士に広く愛用された理由には、絹の特性が関係しており、刀を帯に挿した際に動かないという実用性が評価されました。また、生地が硬いため、戦闘時の防護にも優れており、防護服としての活用も検討されたことがあります。この締め心地の良さと実用性が博多織の大きな魅力です。

妥協を許さない
製品作りのポリシー

当社では、縦糸と横糸を用いた伝統的な織り方を守り続け、原材料の糸代が上昇しても品質に妥協することは一切ありません。たとえ製作コストが上がったとしても、素材の質を落としたり、糸の本数を減らして織り方を変更することはしません。これが当社の特徴であり、ポリシーです。お客様に安心して使用していただける高品質な製品を提供し続けることが、私たちの使命です。もしも品質を妥協するような依頼があれば、当社の名前を使用せず、責任も負わないという条件でのみ受けることにしていますが、そのような依頼を受けたことは一度もありません。この姿勢を貫き、今後も妥協のない製品作りを続けてまいります。

再現性を
追求するための試練

当社が直面している最大の挑戦は、過去に製作した製品と全く同じ品質と形で再現することです。例えば、2年前に作成した帯を、同じ価格、同じ素材、同じ色で再び作ることは非常に難しいです。これは、原材料の価格上昇や、製作時の天候、機械の状態、さらには絹の特性によるものです。絹は天然繊維であり、人間の髪の毛と同様に気温や湿度に影響されます。そのため、同じ条件で同じ製品を再現することは、非常に困難な作業となります。この再現の難しさこそが、当社にとって最大の挑戦であり、日々の製品作りにおいて最も重要な課題となっています。

絹の生産と
現代における課題

日本はかつて絹の生産で世界をリードしていましたが、現在では養蚕家が激減し、絹の新たな可能性を見出すことが難しくなっています。まだ絹の研究施設は存在しますが、それも縮小傾向にあり、糸の品質向上や生産量の拡大には限界があります。絹の価格が高騰している中で、当社では品質を落とさずに製品を提供し続けています。しかし、絹以外の素材にも目を向ける必要性が高まっており、綿や麻といった代替素材も積極的に取り入れています。これは、絹にこだわらない顧客のニーズに応えるためでもあります。絹は依然として高価で希少な素材ですが、その利用には新たな工夫が求められています。

新たな素材と
製品開発の取り組み

現代においては、絹に代わる新しい素材の利用が進んでいます。当社では、バッグやポーチなどの雑貨においては、絹の代わりにポリエステルやレーヨンといった素材を使用しています。これにより、コストを抑えつつ耐久性や使い勝手を向上させることが可能です。絹は帯のような用途には最適ですが、雑貨や日常使いのアイテムには必ずしも適していません。また、絹は手入れが難しく、経年による黄変も避けられません。これらの課題を克服するために、当社では製品の用途に合わせた最適な素材選びを行い、新しい商品開発に取り組んでいます。

ターゲット選定における
課題と展望

海外のお客様には、バッグやポーチ、がま口などが特に人気があり、特に黒や紫などの濃い色の商品が好まれています。ただし、当然ながら各国のお客様の好みは異なり、商品開発においてどの市場をターゲットにするか悩むところです。国内の、そして地元の顧客を大切にしつつ、外国人観光客向けの商品も視野に入れることで、博多織そのものの可能性が広がると考えています。特に、ポーチやがま口のようなアイテムは、汎用性が高く、外国人にもアピールしやすい商品として有望視されています。これからの展開に向けて、ローカルとグローバルの両方を視野に入れた戦略が求められています。

森博多織
工場見学の魅力

当社の工場見学の最大の魅力は、糸から製品が完成するまでの全工程を順序立てて見学できる点にあります。グリーンの床をたどりながら、ものづくりのノウハウや過程を間近で観察できるよう設計されており、そのプロセスが見られるのが特徴です。さらに、見学だけでなく、実際にものづくりを体験できるプログラムも提供されており、訪れる人々にとって特別な体験を提供しています。今後は、見学と体験に加えて、ワークショップを組み込んだコースの導入を計画しており、より充実した体験を提供することで、さらなる魅力を引き出すことを目指しています。

伝統を守りながら
未来へ進む

将来の展望として、森博多織は伝統的な帯の製造を守り続ける一方で、インバウンドや観光客の誘致に力を入れ、博多織の魅力を広く伝えることを目指しています。特に、博多織の本来の織り方や献上柄の歴史を体験できる機会を通じて、品質と文化を正しく理解してもらうことが重要です。森博多織は、博多織の元祖として、他の織屋とは一線を画し、伝統的な製法を忠実に守り続けています。工場見学では、献上柄の織り方やその歴史を丁寧に説明し、博多織の深い歴史と文化を伝えることを重視しています。今後も、博多織の認知度を高めるための様々なツールを活用し、より多くの人々にその魅力を伝えていく方針です。


最後に

私は長年にわたり博多や日本の伝統的なものづくりを見続けてきましたが、これを守り続けるためには、時代に合った変革が不可欠です。何も変えずに続けることは、やがて廃れる原因となります。私たちは新しい取り組みを取り入れ、時代に適応することで、伝統工芸を次世代に受け継いでいこうとしています。令和の時代において、博多の企業がどのように変化に対応しているのか、その様子をぜひご覧いただきたいと思っています。伝統を守りながらも時代に合わせて進化していくことこそが、未来に向けての大切なステップであると考えています。

アクセス情報

森博多織 - 直売所「織りあぐり」
〒811-2109
福岡県糟屋郡宇美町桜原3-4-7
バス バス
西鉄バス「黒穂四角」より徒歩約5分
電車 電車
JR香椎線「宇美駅」より徒歩約15分

よくあるご質問(FAQ)

Q
工場見学にはどれくらいの時間がかかりますか?
矢印
A
工場見学は通常約30分ほどかかります。見学内容に応じて多少時間が前後することがありますので、余裕を持ったスケジュールでお越しください。
Q
工場見学には事前予約が必要ですか?
矢印
A
はい、工場見学は事前予約が必要です。予約なしでの当日見学は対応できない場合がございますので、必ず事前にご予約をお願いします。
Q
英語でのガイドはありますか?
矢印
A
はい、英語でのガイドもご用意しております。予約フォームで英語ガイド希望をお知らせいただければ、対応させていただきます。
Q
子供連れでも見学できますか?
矢印
A
もちろんです。お子様連れのご見学も大歓迎です。ただし、工場内には繊細な機械が多いため、見学中はお子様から目を離さないようご注意ください。
Q
車椅子での見学は可能ですか?
矢印
A
はい、工場内はバリアフリー対応となっております。車椅子での見学も問題なくご参加いただけます。必要なサポートがございましたら、事前にご相談ください。
Q
写真撮影は可能ですか?
矢印
A
工場見学中の写真撮影は、一部のエリアを除き可能です。撮影禁止エリアについては、ガイドからご案内いたしますので、その指示に従ってください。
Q
見学をキャンセルしたい場合、どのような手続きが必要ですか?
矢印
A
キャンセルをご希望の場合は、見学予定日の前日までにご連絡ください。キャンセル料は発生しませんが、なるべくお早めにご連絡いただけると幸いです。。
Q
見学後に博多織の製品を購入することはできますか?
矢印
A
はい、見学後には直営のギフトショップで森博多織の製品をお買い求めいただけます。ここでしか手に入らない限定アイテムもご用意しております。
Q
見学中に質問はできますか?
矢印
A
もちろんです。ガイドが丁寧にお答えいたしますので、気になることがあればお気軽にお尋ねください。
Q
見学後の感想をシェアしたいのですが、どこに投稿できますか?
矢印
A
見学後の感想は、ぜひSNSでシェアしてください。公式ハッシュタグ #森博多織工場見学 をつけて投稿いただけると、スタッフ一同大変嬉しく思います。

お申し込み方法

当ウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。

工場見学のお申し込みは下記リンクボタンよりお願いいたします。

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